2013年11月04日

アリス


 一つ確実なのは、白い子ネコはなんの関係もなかったということ:――もうなにもかも、黒い子ネコのせいだったのです。というのも、白い子ネコは年寄りネコに、もう四半時も顔を洗ってもらっていたからです(そしてその状況を考えれば、なかなかがんばって耐えていたと言えましょう)。というわけで、白い子ネコはどう考えてもいたずらにはまったく荷担していなかったのはわかるでしょう。

 ダイナはこんなふうにして子どもたちの顔を洗ったのでした:まずかわいそうな子を耳のところで前足片方を使っておさえこみ、そして残った前足で、子どもの顔中をこすります。それも鼻からはじめて変な方向に。そしてちょうどいま、ぼくがこうして話している間にも、ダイナはいっしょうけんめい白い子ネコを片づけています。白い子ネコはほとんど身動きせずに、のどをならそうとしていました――これもみんな自分のためを思ってのことなんだ、というのを感じていたのはまちがいありません。

 でも黒い子ネコは、午後の早い時期に顔を洗ってもらったので、アリスが半分ぶつぶつ、半分眠りながら、大きなソファのすみに丸まっている間に、アリスが巻いておこうとした毛糸の玉とせいだいにじゃれて、あちこちころがしてまわり、やがて毛糸玉はぜんぶほどけてしまいました。おかげで毛糸玉はこの通り、暖炉前のじゅうたんいちめんに広がって、そこらじゅうに結び目ができたりからまったりして、そのまん中で子ネコが自分のしっぽを追いかけているのでした。

  「まあこのいたずらっ子め!」とアリスはさけんで子ネコを抱え上げ、ちょっとキスをして、しかられているんだとわからせてあげました。「まったく、ダイナがもっとちゃんとしつけてくれないと! そうでしょ、ダイナ、わかってるわよね!」とアリスはつけくわえながら、非難がましい目つきで年寄りネコのほうをながめて、できるだけきびしい声を出そうとします――それから子ネコと毛糸を持ってソファにかけもどり、また毛糸を巻きはじめました。でも、あまり手早くはありません。というのもときには子ネコに向かって、ときには自分に向かって、ずっとしゃべりどおしだったからです。子ネコちゃんはとてもとりすましてアリスのひざにすわり、毛糸を巻くすすみ具合を見ているふりをしつつ、ときどき前足を片方出して毛糸玉に軽くさわり、できるものなら喜んでお手伝いするところですが、とでも言うようです。

 「明日がなんの日か知ってる、子ネコちゃん? あたしといっしょに窓のところにいたら、見当ついたと思うけど――でもダイナにきれいにしてもらってたから、窓は見られなかったのよね。男の子たちがたき火用に棒を集めるのを見てたのよ――それで棒がいっぱい集まってね! ただ、すごく寒くなってきて、しかもいっぱい雪もふって、それでみんな途中でやめちゃったの。でも別にいいわ、子ネコちゃん。たき火は明日いっしょに見に行きましょう」ここでアリスは、毛糸を二、三回子ネコの首に巻きつけました。どんな風に見えるか試してみたかっただけなのですが、これは大騒動になって、おかげで毛糸玉は床に転がり落ちて、何ヤード分もの毛糸がまたほどけてしまいました。



Posted by まなかなあ at 12:26│Comments(0)
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